リンク集 サイトマップ
日坂プロショップ
トップ 商品情報 ドリラースケジュール スポルト八景ボウル店 ハマボール店 知識&解説 各種加工料金 スタッフ紹介
ドリルの解説 ボールリアクションの知識 ミニセミナー
 
知識&解説
 
  慣性モーメントとRG
 

回転しやすいか、しにくいかの物理特性を慣性モーメントということを前回お話ししましたが、ここで慣性モーメントそのものがどうボールに現されているかをさらに追求してみましょう。

  転がりやすいボールを低慣性、転がりにくいボールが高慣性という概念は解ったものの、どうやったらそれらのボールを見いだすことができるか、という指標 がなければ実際にはどのボールが低慣性なのか高慣性なのかを判断することができません。その指標になるのが「RG」とう値なのです。最近のボールのスペッ クには「RG」という値が表記されていますが、この「RG」というのはRadius of Gyrationの略で、回転半径と訳される物理概念で、この ときの慣性モーメントは、

(慣性モーメント)=(質量)×(軸からの距離)

であらわされますから、重さや軸からの距離によって慣性モーメントは変化します。

 
 
ボールの質量を1点に凝縮して、軸の周りを回転しているところを想像してください。ひもにつり下げた重りを振り回しているようなイメージです。このときの 慣性モーメントは上の式で現されます。これは対象物が非常に小さく大きさが無視できる場合の話で、ボールのようにある程度大きいものはその各部で軸からの 距離が違ってきますのでこのままでは計算ができません。そこでボールを無数の小片に分割してここの小片についての慣性モーメントを計算し、それらを全て足 し合わせたものがボール全体の慣性モーメントになるのです。そしてボール全体の慣性モーメントに等しくなったときの軸からの距離が回転半径(RG)という ことになるのです。
 
ではなぜ慣性モーメントそのものではなく、RGを表記するのでしょう。その理由の一つは単位が「長さ」の次元になるため大きさをイメージしやすいということにあります。0.03kg・m2 よりも2.5インチの方がずっとわかりやすいからです。
 
ボール 重量(ポンド) 慣性モーメント(Kg・m2 RG (インチ)
A 16 0.0292 2.50
B 14 0.0277 2.60
(岸本孝博氏計算による)
 

もう一つの理由はRGの算出過程で重さによってRGが異なるために単純に重さによる比較ができる点にあります。実例をあげてみましょう。

 重さの違う2個のボールのうち、材質や表面粒子など、他の条件を同じにした時のスキッドの長さを比較してみましょう。

 表にある2個のボールのうち慣性モーメントが大きいのは16ポンドですからAの方がスキッドは長くなると思いがちですが、重いAの方にはそれだけレーンからの摩擦が大きく作用するためにスキッドはRGの大きいBになります。

 RGはABC(アメリカボウリング協会)によって製造上の規定があり、2.430〜2.800インチ以内と定められていますが、実際に市販されているボールは低慣性側に偏っていて、2.641インチを超えたものは高慣性という位置づけになっています。

表は米国BTM誌で区分しているRGの数値を参考に、私が表にしたものです。
自分のボールのRGは果たしてどの位なのか、知っておくことも必要だと思います。

 
低慣性 低−1 2.430〜2.465
低−2 2.466〜2.500
低−3 2.501〜2.535
中慣性 中−1 2.536〜2.570
中−2 2.571〜2.605
中−3 2.606〜2.640
高慣性 高−1 2.641〜2.675
高−2 2.676〜2.710
高−3 2.711〜2.745
高−4 2.746〜2.800
 
次回はフレアポテンシャルと凾qGの関係について述べる予定です。
 
←前の記事へ ボールリアクションの知識 一覧へ 次の記事へ→
 
Copyright(c) Hisaka Proshop.com All Rights Reserved.