ボールのリアクションに与える要素をそれぞれのカテゴリーで影響する度合いを分けて考えることは難しいことではありますが、おおよその割合として表してみました。
表面のカバー素材とコアデザインによりボールパフォーマンスの約80%が決まるため、ドリルによって与えられるパフォーマンスの変化は残り20%の範疇であることをまず理解する必要があります。
ボールリアクションは表面素材や表面加工の度合いでその殆どが決まってしまいます。摩擦の小さいプラスチックボールに最大の動的バランス(回転軸のぐらつきにより、フレアを起こす)を与えても、ウレタン樹脂を超えるリアクションが得られない事からも分かります。
さらに表面をポリッシュしたり、サンド仕上げをすることで簡単にリアクションを変えることができるのも今や常識的です。
次に影響があるのは中玉(コア)の形状やウエイトブロックの位置や比重です。これはボールの転がりに影響を及ぼす慣性モーメントやジャイロ効果による回転軸の移動に影響を与えます。ボールの中心が重い(センターヘビーコア)低慣性(Low/RG)はより手前から回転し、表面が重い(カバーヘビー)高慣性(High/RG)はスキッドが長くなる特性があります。
→慣性モーメントの解説は「知識&解説・ボールリアクションの知識」にあります。
ボールのコア形状を回転軸に対してどうレイアウトするかによってトラックフレアを大きくしたり小さくしたりする調整が可能となります。トラックフレアを大きくすることにより、レーンを手前から捕らえ、曲がりを大きくする効果をもたらします。
→ダイナミックバランスの解説は「知識&解説・ドリルの解説」スタティックバランスからダイナミックバランスへにあります。
指穴の他にルール上1個だけバランス調整ホールをあけることが認められていて、その穴の位置によって動的バランスやRG(回転半径)に変化が起こります。その物理的効果を利用してリアクションの増減を目的とした、あるいはレイアウトした際に起こるバランス規定オーバーを調整する目的であけるホールをエキストラホールと言います。マスバイアスコアが主流となってきた昨今では、必要不可欠な手段と言えます。
→バランス規定の詳しい解説は、「知識&解説・ドリルの解説」
ドリリングにおけるバランス規定にあります。
「マスバイアス」とは質量の偏りを意味する造語(力学の専門用語ではなく、ボールメーカーによって作られた言葉)で、もとはPINアウトボールの製造法に過ぎなかったのですが、その変形コアを利用することでボールのフックからロールへの移行部分を調整できることが数々の実験から解り、今やハイパフォーマンスボールのデザインには欠かせない手法となっています。
バランサー(ドゥドゥスケール)で測定した静的バランスの事を言いますが、現在はその効果は無いと考えるべきです。このことは数々の実験で検証されていますので、ルール上の数値と位置付けるべきでしょう。
これらのことを理解することは、これからさらなるボウリング技術向上を目指すのであれば、とても重要です。 |